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ANPO映画

ANPOについて

ANPO あらすじ

『ANPO』は、日本に数多く存在する米軍基地に抵抗する日本の現代のトップアーティストたちのさまざまな作品群―絵画、写真、アニメーション―の紹介と、これらアーティストたちのインタビューを織り交ぜたドキュメンタリー映画である。アーティストたちの作品を通して、日本で忘れられようとしている、ある時代を象徴するキーワードが蘇るのだ。そのキーワードとは、現在も続いている日米安全保障条約―通称”安保”。この条約により、日本全国には未だ90もの米軍基地の設置が認められ、その結果50年前から現在に至るまで、日米関係は健全とはかけ離れた状態となっているのだ。

本作品で紹介される珠玉のアート作品たちは、オープニングシーンから観客の眼を捕らえて離さない。「日本とアメリカの関係はひりひりしている」と静かに語るのは、現代美術家の会田誠。「常に好きと嫌いが反転している・・・」。直後、画面は彼が96年に発表した驚くべき作品をクローズアップ。日本の零戦が何十機もニューヨークの上空を旋回している様子を描いたその襖絵は、彼の苦いコメントの裏づけなのだ。

未だ30もの基地が存在する現代の沖縄の姿の衝撃的な映像から、時代は1960年へ遡る。日本の一般市民が立ち上がり、デモ行進をしていて、それは現在の日本でほぼ忘れられた民主主義運動だった。この一大市民運動の予兆は、50年代からあった。そのほとんどは平和的であったが、時に米軍に対して激しい抵抗を示した。なぜなら米軍の存在は、日本が永久に戦争放棄を謳った憲法を持つ、独立した一国家であることをまやかしにするものだったからだ。1960年までに、こうした抵抗運動は、日本の地から米軍基地を排除しようという何百万もの一般市民を巻き込んだ巨大なものとなっていった。

デモ行進に参加したひとびとの願いは、しかしながら当時総理大臣だった岸信介にあっさりと潰されてしまう。冷戦時代真っ只中、主要同盟国を失うことを恐れた米国政府とCIAが、岸をバックアップしていたのだ。『CIA秘録』の著者、ティム・ワイナーは「冷戦時代、米国は相手がアンチ共産主義者であれば、どんなふざけた野郎とでも取り引きをした」と苦々しくコメントする。しかしこの抵抗運動の火は消えることなく、ベトナム戦争反対に向けて再浮上する。また運動に参加したアーティストたちのその後の活動に拭い去ることのできない痕跡を残し、彼らの中には、その後国際的に注目を浴びるようになった者もいる。『ANPO』では、半世紀もの間、美術館の倉庫に眠っていた作品を通じて、アーティストら自身の物語をも綴っていく。

日本の近代史において争論を巻き起こしたこの時代には、さまざまなタイプのアート作品が生まれた。大島渚を初めとする先鋭の映画作家たちによる映像は、1960年当時の安保反対を唱えるひとびとの情熱と決意を鮮やかに切り取ってみせる。マグナム・フォトの写真家、濱谷浩の個人アーカイヴの写真では、日本政府の締め付けによる蛮行と暴力が映し出される。再び戦争に飲み込まれるのを恐れた数百万もの一般市民―学生、主婦、商店街の店主、労働者―が、民主主義のために立ち上がって米軍の駐留をやめさせようと訴えるため、数ヶ月に渡って通りにあふれ出してデモ行進をした。その様子が映し出された写真を目にして、私たちは当時の熱気を理屈ではなく体感するのだ。

ナレーションを一切排除したこの映画では、アート作品たちが魅力溢れるガイド役を務める。そして安保闘争や日本の現在にも影響を与えた当時の政府の対応の源流ともなる歴史を探っていく。映画が進むにつれ、アート作品たちが語るのは、米軍絡みの犯罪に巻き込まれた人びとの屈辱的な経験、環境破壊、騒音公害といった負の要素であり、こうして溜まりに溜まった怒りが爆発した結果が、全国規模で発生した50年前の安保闘争なのだ。

1960年安保闘争のスピリットが、現在の日本でどのように受け継がれているか。映画の最終パートは、先輩アーティストたちの作品以降、現代のアーティストたちが未だ変わらず存在するアメリカに対し、自分たちのスタイルでどう表現しているかが描かれる。そんな抵抗のスピリットは、今日の日本の一般市民にも引き継がれている。沖縄普天間基地移設問題で公約を果たせなかった鳩山首相は、辞任せざるを得なかった。今、日米安全保障条約について疑問を投げかける声が、50年ぶりに再浮上しているのだ。この映画のラストシーンは、日本では民主主義精神が未だ息づいており、長い間眠っていた怒りと情熱が再び目覚める日はすぐそこに迫っていてその時を待っているのだ、と私たちに語りかけてくる。

国際的評価も高い映画監督、是枝裕和は『ANPO』を、「50年前の表現者たちがどのように真摯に政治と、安保と向き合い、その「傷」を表現の中に刻み付けたかについての貴重な記録」、「基地問題が再び注目を集める今、非常にタイムリーな作品」と評している。

これが初監督作品となるリンダ・ホーグランドは、日本生まれのアメリカ人で、日本の公立小・中学校を卒業した完璧なバイリンガル。本作ではプロデューサーも兼任。バイリンガルでバイカルチャルな経験や、これまで数多くの著名監督(黒澤明、宮崎駿、黒沢清ほか)の映画の英語字幕翻訳を手がけてきたバックグラウンドが、いかんなく発揮されている。撮影監督はこれまで数百本に及ぶドキュメンタリー作品や、『誰も知らない』をはじめ数々の是枝裕和監督の撮影を手がけたベテラン、山崎裕。山崎は学生だった当時、60年安保闘争を撮影していたという。さらには、米国占領下の日本を描いた『敗北を抱きしめて』で、ピューリッツァ賞を受賞したMIT名誉教授ジョン・ダワーが、アドバイザーとしてクレジットされている。

(ハイビジョン撮影、2010年作品、上映時間89分)

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